だいぶ久しぶりの記事になります。太宰治と甲府の記事をもう一つだけ書こうと思っていながらすっかり忘れていました。

 太宰治は昭和14年(1939)1月に石原美知子と結婚し、甲府で新婚生活を送るが同年9月には東京の三鷹へ引越す。太宰治はその後、度々甲府を訪れているが、昭和16年4月に甲府市錦町の東洋館という温泉旅館に井伏鱒二と滞在している。そしてここで書き途中であった長編小説『新ハムレット』を執筆している。

 この東洋館も前回の甲府の記事で書いた『梅ヶ枝旅館』と同じく、旅館明治の館内にある太宰治資料室で太宰ゆかりの地の住所が書かれたボードにその住所と場所が記載されていた。
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 東洋館は当時甲府市錦町18番地(現・甲府市中央1‐6‐3)に温泉旅館として営業していた。太宰治はここに来る前に、同年2月19日に静岡県清水市の『三保松原の突端、白い燈台の下の宿屋三保園』においても『新ハムレット』の執筆に取り組んでいる。
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 現在の東洋館跡。全く面影はないが、よくよく見ると…
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 英文字で『TOYOKAN』とある。さらに…
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 建物の中にも『東洋館ビルご案内』とあり、建物は無くなったが『東洋館』の名前だけは今でも残っているようだ。
 ちなみに、太宰は甲府市錦町東洋館内を住所として昭和16年4月9日の消印で山岸外史に葉書を送っており、『甲府では、どうも酒を飲む機会も多く、仕事が思ふやうに、はかどりません。甚だ心細く、淋しい気持であります。』と記している。
 太宰の師である井伏鱒二にとって山梨は馴染みの場所で、また太宰は甲府にいるとき井伏と共にすることが多かった。井伏は交友関係も豊かで、それもあり山梨の文化人たちともよく酒を飲む機会も多かったというから、酒好きの太宰が仕事がはかどらなかったとするのも無理はない。

 長くだらだらと続いてしまったが、太宰治と甲府の記事は一応はこれで終わりとなります。しかし、山梨、甲府におけるゆかりの地はまだまだあるので、引き続き調べてまた自分の足で歩いて記事にしたいと思います。ひとまずは、太宰の甲府におけるゆかりの地は大まかではあるが、記事に出来たと思います。


by dazaiosamuh | 2018-10-25 13:53 | 太宰治 | Comments(0)

 書店で偶然、『人間失格』の漫画を発見した。今年の8月に三栄書房から出版されたものらしく、『人間失格』の漫画は他にも何冊も出ていて、どれも似たり寄ったりだが、帯に東大出身ベストセラー作家推薦とあったので、若干の期待を込めて買ったがやはり内容は他出版社の『人間失格』と差はなかった。
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 まえがきには、『現代向けにこだわった』とあり『今の若い世代に向けてアレンジしたつもり』とのことだが、やはり他の『人間失格』と大して変わらず、そもそもアレンジしたら原作の良さはますます伝わらない。小説が苦手な人、文学が苦手な人がイメージしやすいように、原作を読む前にこの手の漫画を読む分にはいいかもしれないが、原作をすでに何回も読んでいる読者には不要。原作がどのような描写で表現されているのか興味がある人は参考までに読むのはいいかもしれない。
 それにしても、『人間失格』の漫画は何種類も出ているが、未だに、『これだ!!』と思うものがない…。やはり原作が一番だということですね。


by dazaiosamuh | 2018-10-14 20:23 | 太宰治 | Comments(0)

 先週10月3日、毎月1回訪れている銀座のバー・ルパンが開店90周年を迎えた。混むだろうなと思い、開店時間から僅か数分後に行ったにもかかわらず(普段も開店時間とほぼ同時に行ってますが…)、すでにカウンターには客が5、6人座っていた。その後、私のすぐ後からぞくぞくと客が訪れ、あっという間に満席で、空いてる時間帯でしかルパンで飲んだことのない私にはある意味新鮮であった。
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 90周年ということで、『Ardmore』(アイラ島のモルト原酒を使ったウィスキー)のルパンオリジナルボトルがあり、「(ウィスキー好きなら)今日はこれを飲まなきゃいかんでしょ」とマスターがグラスに注ぐ。
 
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 他に記念品として、ルパンオリジナルの付箋紙が配られ(数に限りが…)、また常連客には案内のハガキと交換によるルパン90周年オリジナルグラスを頂くことができた。どちらも使うのがもったいない。私のよこで飲んでいた客が、『Ardmore』を記念として購入していたので、私もつられて買ってしまった(8千円…)。グラスを使うのがもったいないが、せっかくなので記念グラスで飲もうと思います。

 ルパンは1928年(昭和3年)10月3日に開店した。太宰治もまさかここまで長く続いているとは思っていなかったのではないだろうか。最近は客層に変化があり、『文豪ストレイドッグス』の影響で国内だけでなく海外からの女性の客が増え、しかも一人で来店する女の子もいて、(マスターも鼻の下を伸ばして…)大いに賑わっている。

 付箋紙などの記念品はもう無いかもしれないが、これを機に行ったことのない方は、太宰治や織田作之助、坂口安吾が訪れたバー・ルパンに行ってみるのもいいかもしれない。



by dazaiosamuh | 2018-10-09 21:27 | 太宰治 | Comments(0)