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太宰治の肉筆が残された聖書が発見!?

 群馬県の旧吉井町(高崎市吉井町)の町長を務めた医師、故斉藤達也さん(1897~1981)が愛用した聖書に、太宰治の肉筆が残されていることが先月25までに分かった。

 太宰の肉筆が残されていた聖書は、黒崎幸吉編『新約聖書略註 全』(1934年、日英堂書店刊)で、書き込みは「T.SAITO」と著名の入った見返しに二つあり、一つは墨書で『かりそめの 人のなさけの身にしみて まなこ うるむも 老いの はじめや 治』
 これは『HUMAN LOST』にも同じ歌が収められている。
 もう一つは、その墨書の下に『聖書送つて よこす奥さんが あれば僕もも少し 笑顔の似合ふ顔に成れるのだけれど 太宰治』とこちらは黒ペンで記されていたという。

 では、なぜ斉藤達也さんの聖書に太宰治の肉筆があったかというと、太宰は昭和11年(1936)10月、太宰のパビナール中毒を心配した北方四郎、中畑慶吉、井伏鱒二、妻・小山初代らの説得によって、東京・板橋区の武蔵野病院に入院することとなった。太宰がちょうど入院しているときに、斉藤達也さんも、胃炎と不眠症による鎮痛剤中毒の治療でこの東京武蔵野病院に入院しており、この時に太宰に貸した聖書であった。太宰は退院後、『入院中はバイブルだけ読んでゐた』と書き残していることから、この聖書を借りて読んでいた可能性が高い。

 聖書は、斎藤さんの三女が家族の勧めで神奈川近代文学館に寄贈した。
 太宰治と聖書は切っても切り離すことのできない繋がりがあり、太宰の人生、作品に大きな影響を与えた。この新資料発見により、今後さらに太宰研究が進むことが期待される。
 神奈川近代文学館では、昨年12月から今年1月に行われた公開展示で、来館者、太宰の研究者から大きな反響を受けたという。
 私も早くその太宰の肉筆が書かれた聖書をこの目で見てみたい。太宰と聖書の密接な関係について、今後の進展に期待です。


by dazaiosamuh | 2019-05-01 20:14 | 太宰治 | Comments(0)