太宰治と甲府 №11 ぶらぶらと散歩した御崎神社

 太宰治と妻・美知子が住んだ新居からすぐ目と鼻の先に、御崎神社がある。太宰は執筆の合間などでよく御崎町界隈を散歩していた。当然御崎神社にも立ち寄り、気分転換をしたり思案に暮れてみたりなどしたことだろう。
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 住宅地のなかにひっそりとある。私がこの日、甲府を訪れた時は8月の終りの方で、非常に暑い日であったのだが、御崎神社へ足を踏み入れると、涼しく感じられた。神社というのは不思議である。太宰が新居に住んだのは、昭和14年の1月から8月頃だから、太宰も気晴らしを兼ねて、涼みに御崎神社へ行っていたかもしれない。
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 御崎神社について、『まちミューガイドブック 甲府市朝日町界隈編』から少し引用させてもいらます。
御崎神社は、武田信虎がいた石和の館の鎮守としてまつられていました。永正十六(一五一九)年、信虎は石和から甲府の躑躅ヶ崎(つつじがさき)に館を移します。その際、御崎神社は稲荷曲輪(いなりくるわ)に遷座(せんざ)。文禄三(一五九四)年、甲府城築城のとき、城の北西の守護神として現在地に移されました。
 武田氏滅亡後、神社は甲府城の守護神となり、それぞれ、移転したまちの地名の由来にもなっています。
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 御崎神社は、武田家の館や甲府城の守護神としてまつられていたのですね。
 ちなみに、太宰が新居にいた当時のことで、この界隈を風変りな格好をした男が歩いてた、という目撃場がちらほらあるとか…。はたして太宰のことなのか、しかし、その異様な印象を与えるエピソードを妻・美知子が『回想の太宰治』で書いている。
井戸端で秋山さんと燐家の女の子たちがよく遊んでいたが、その傍を私たちが通ると遊びをやめて太宰を見上げたり、ささやき合ったりする。玄関の前のたたきに「夫婦の家」といたずら書きされていたりした。勤めにも出ないし、少々変わった風体なので、子供心にも異様に感じたのだろう。

 太宰はその自身のオーラというのか、見る者に何かしら強い印象を与えるため、当時風変りな男を目撃したという情報があっても、たしかにおかしくない。太宰の写真を見ただけで異様な印象を与えるのだから。
 太宰と妻・美知子は暑さを感じる頃から東京への引っ越しを考えはじめ、昭和14年7月中旬に借家探しに東京へ上京。同年9月には東京・三鷹へと引越しをするのだが、『三鷹の大家からの通知を待っているうちにこの北がふさがっている家は暑くてたまらなくなった。畳まであつくなったが、いま思いえばトタン屋根だったのだろう。トタン葺きの平家では甲府盆地の夏は過ごし難いのである。やはり「六円五十銭」の家賃相応の家だったのだ。』(回想の太宰治)

 そうとう暑かったようですね。なおさら太宰は御崎神社へと涼みにいったと思います。しかし、妻・美知子の著書によると、『暑い夏で終わったのだけれども、田舎ぐらしのようだった御崎町時代のことを後年太宰は「…幽かにでも休養のゆとりを感じた一時期…」と回想』していたらしい。

 暑さはともかく、太宰にとっては休養のゆとりを感じ、執筆活動と充実した生活を送ることができたのだ。


Commented by hanako at 2018-04-03 08:37 x
こんにちは!
こちらのブログを見つけてから、少しずつ読み進めています。
私はなぜかこの歳になって(53歳!)今まで全く興味がなかった(どちらかと言えば嫌いだった(笑))太宰治の魅力にはまってしまいました。
まだ数冊しか読んでいないので、まだまだ知らない事ばかりです。
ゆかりの地にも足を運んだ事もまだありません。これから時間を見つけて色々と行ってみたいと思っています。
その中でも銀座のバーは是非行ってみたいです!
これからも楽しみに読ませていただきますね!
Commented by dazaiosamuh at 2018-04-03 20:46
> hanakoさん、はじめまして、こんにちは! 今まで興味がなかったのに、太宰の魅力にはまってしまったとのことですが、小説は、読んだ時の自分の年齢や人生経験によって感じかたが違ったり、共感できたりします。 hanakoさんは心境の変化か人生経験を経て共感できるようになったとかでしょうか。それとも純粋に太宰の作品(書き方、語り方、内容の面白さ)などの魅力に憑りつかれたのでしょうか。
同じ太宰ファンが増えて嬉しいです。太宰もきっと喜んでいると思います。
ゆかりの地、是非歩いてみて下さい。ゆかりの地で想いを馳せるのも格別です。
銀座のバー・ルパンはかなりおすすめで、紳士で優しいマスターから色々と話が聞けます。
私は毎月1回は訪れています。お会いできるかもしれませんね。
Commented by hanako at 2018-04-05 16:54 x
こんにちは。
hanakoです。
たまたま息子の本棚をあさっていたら「走れメロス」が。あー嫌いだけどこれは読んだな~と思いながらパラパラめくってみると、私が読んだのは本当にメロスだけ。最初の短編から読んでみようかと軽い気持ちで「富嶽百景」を読んだのです。
いつのまにやらかなり真剣に。
2回繰り返して読んで…さらにもう一回。
私はその時、太宰治に恋をしました。
その時から「走れメロス」は私の物になり、その後に「斜陽」「晩年」「人間失格」「津軽」と読みました。
今は別冊太陽の太宰治特集を読んでいます。
周りに太宰治を好きな人がいないので、この様に話せて嬉しいです。
今度、三鷹の「定例ガイド」ツアーに参加してみようと思っています。

銀座のルパンは、おばさん一人でも入れるような感じのお店ですか?
勇気を出して行ってみようかな!
Commented by dazaiosamuh at 2018-04-06 17:38
> hanakoさん、こんにちは。太宰治に恋、いいですね。私も女性に生れていたらきっと恋していたと思います。
ルパンは入りにくそうな感じにみえますが、女性の一人客も結構きます。最近は、『文豪ストレイドッグス』という漫画の影響で、日本人だけでなく、外国人女性客もたくさんいて、しかも日本語があまり分からないのに一人で訪れる女性外国人もいます。
三鷹の太宰治のゆかりの地を歩く定例ガイドは参加したことがまだありません。自力で調べて歩くのが好きなので…。しかし、ファンの人たちや興味がある人たちとの交流になり知り合いも増えて良いかもしれません。

ルパンにどうしても一緒に行く相手が居らず、もし一人で行くこともできなければ、私が付添いますが…。

n_dasuke_maine_do@yahoo.co.jp
Commented by hanako at 2018-04-10 13:13 x
こんにちは。
外国人の女性が一人で?!私もがんばります(笑)
黒森さんの心強いお言葉、ありがとうございます!!

定例ガイドツアーは、そうですね、他の方とお話できそうで楽しそうだな~と。黒森さんは、本当にお一人で調べて歩いていますよね!筋金入りの太宰ファンですね。
仕事&主婦&子育てで中々自分の時間が持てない私ですが、これから行けるだけ色々行ってみようと思っています。

もう少し若い時に太宰の魅力に気づいていれば…と悔やまれます。『人間失格』だけで嫌いと分類してしまったとは…。
本人に会って謝りたいです。無理だけど。
太宰のことを知れば知るほど恋心が募っていきます。
ルパンに行って色々と妄想でもしたいです(笑)
Commented by dazaiosamuh at 2018-04-12 19:08
> hanakoさん、勇気を出して、是非ルパンへ行ってみて下さい。一度行けば、その後行きやすくなるので、最初が肝心です。三鷹の禅林寺にも是非お墓参りに行って見てください。太宰はきっと喜びますよ。特に女性のファンならなおさら!!(笑)
by dazaiosamuh | 2018-03-27 12:14 | 太宰治 | Comments(6)