太宰治 『思い出』めぐり!! №14 合浦小学校の文学碑

すなおで  かみさまのような  いいこ

 太宰好きでこの言葉を聞いたらぴんとくるはず。あっ、人間失格の台詞だな、でもちょっとアレンジされているな、と。
 この『すなおで かみさまのような いいこ』という台詞は、青森市にある合浦小学校に文学碑として作られました。実際の『人間失格』の台詞は、『私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした』である。それを簡単に小学生にも分かりやすいようにアレンジした台詞である。合浦小学校に文学碑があると本に記載されていたため、ついでに見に行くことにしたのでした。
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 こちらが現在の合浦小学校になります。子供たちの元気な声を聞きながら敷地内を見てまわりますが、どこにも見当たりません。書籍等には正門脇の敷地内にあると書かれており、しかも写真付きのため、絶対どこかにあるはず。しかし、校庭や学校の周りを一周、二周しても発見できません。まさか撤去したのか。いや、そんなはずはない。だが見当たらない。学校の敷地内をウロウロ、キョロキョロしていると、4,5人の合浦小学校の子供たち男女が私を見て、「不審者じゃない!?」「そうだ、何か怪しい、不審者だ!」と、ひそひそ話しているのが聞こえてきました。ちがう、私は断じて不審者ではない。ただ純粋に太宰の文学碑を見に来ただけなのだ。実に心外だ。
 しかし、いい大人が小学校をウロウロしていては疑われても仕方が無い。このままでは警察を呼ばれてしまうかもしれない、そう思った私は、やむを得ずインターホンで学校の職員を呼び、太宰治の文学碑を見に来たが、どこにあるのかと聞いてみました。すると、なんと文学碑は場所を変え、校舎内に設置したとのこと。理由を尋ねると、校舎の増設に伴い、校舎のすぐ近くにあった太宰の文学碑をどうしてもどかさなくてはならなくなり、しかたなく文字の書かれたプレートだけを校舎内(廊下)に設置したとのことでした。
 どうりでいくら探しても発見できなかったわけです。事情が分かった所で、職員の方から文学碑のある校舎の中へ案内してもらいました。
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 こちらが文学碑になります。たしか二階の廊下だったと思います。さりげなく置かれていました。筆をとったのは関俊雄という方で、昭和29年に新設合浦小学校の二代目校長として赴任し、5年間在任しました。この方が合浦小学校の後輩のためにも、よいしるべとなるものが無いだろうかと思案にくれ、『あれこれ思考をめぐらしているうちに、突然!石碑をたてよう。それも、太宰の作品の中から、言葉を選ぶことにしよう』と思いついたのがきっかけでした。
すなおで、かみさまのような、いいこ」につきましては、勝手にこうアレンジしていいものだろうかと、私の気持ちにひっかかっていましたが、小野正文先生が、上京の折、太宰さんの奥さんにご了解いただきましたら、ご寛容下され、「かえって、その方が上品でいいですわ」と笑ってお許しいただいたとのことでした。』(太宰治と青森のまち

 子どもたちの素直な成長を願って作られた素晴らしい文学碑ですね。
 文学碑は、『太宰治と青森のまち』と『新編 太宰治と青森のまち』が出版された後に場所が変わってしまったので、注意が必要です。どうしても見たい人は、学校職員を呼び、許可を得て校内を案内してもらわなければなりませんので、手間がかかります。

すなおで かみさまのような いいこ
 分かりやすくていいですね。私も子どもたちの素直な成長を心から願っています。

by dazaiosamuh | 2015-10-10 19:34 | 太宰治 | Comments(0)