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太宰治 生誕105周年 桜桃忌!!

『ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。』(人間失格

 今日(6月19日)は、太宰治の桜桃忌だ。太宰は、6月13日の深夜から翌日14日の間にかけて、玉川上水に山崎富栄と共に入水したと言われている。そして、懸命の捜索活動の末、偶然にも太宰の誕生日である、19日に遺体が発見された。それが、66年前の今日である。

 私は今日のために有休をとっていた。ちょうど友人Sさんも休みで、「良かったら写真を撮りますよ」、そう言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。
 当日、午後12時に三鷹駅に待ち合わせをし、住職が来るのが14時かららしいので、一先ず太宰治文学サロンに立ち寄った。
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 文学サロンの前まで来るとサロンから年配の男性が出てきて、私を一瞥し、「お兄さん、太宰治に似てるね」と言って去っていった。私とSさんはお互い顔を見、ニヤリとした。太宰の有名な写真に銀座のバー・ルパンの写真がある。私は太宰の服装を、完璧ではないものの、白のYシャツにネクタイ、そしてベストを着て桜桃忌に臨む気持ちで来たのだ。
 文学サロンでは年配の女性が多く来店していた。ざっと眺めサロンを後にし、1時間以上早いが、太宰の眠る禅林寺へと向かった。
 
 禅林寺に到着すると、近くにいた男性が気さくに話しかけてきてくれた。話しを聞くと、今回の桜桃忌は思っていた以上に人数が少ないとのこと。5年前の生誕100周年の時は、数千人が集まったと言っていました。すごいですね。ですが、たしかに初めて桜桃忌に参加する私でさえも、思っていたほど多くは集まっていなかった。13時頃到着し、15人前後といったところか。しかし、人数が少ないうちに手を合わせておこうと思い、持参したさくらんぼとゴールデンバットをお供えし、Sさんに撮影してもらった。
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 写真に写っているのは私です。自身の記事での出演は初ですね。14時まで時間があるので時間潰しに近くのガストで休憩をとりました。
 雑談で時間を潰した私とSさんは再び禅林寺へと向かうと、うむ、なかなか集まっていると見える。しかし、やはり思っていたほどではない。ざっと見渡して100人前後。それもピーク時でだ。
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 ファンたち、所謂、自分の同志たちを眺めているうちに、いつのまにか住職が墓前にてお経を初めていた。上の写真は住職が来るまえの写真で、同志たちに混ざって私も写っています。どこにいるか分かるでしょうか。
 お経は僅か1、2分足らずで終了しました。私は住職から、何か太宰についてのお話を聞けないかと思い、話しかけようと思っていたのですが、いつのまにやら姿を消していました。
 住職が姿を消すと同時に同志たちは持参した、お花、酒、煙草(ゴールデンバット)、さくらんぼ等を思い思いの気持ちを胸に、お供えしながら手を合わせて太宰にあいさつをしているようでした。その中で1人、周りの人に怒声を言いながら、お供えしている年配の男性がいました。熱狂的な太宰ファンなのでしょうか、それとも関係者の方なのかと思っていたのですが、後になってからですが、どうやらファンの方のようでした。(変なファンも多いと聞きました。)

 私はただ写真を撮るのが嫌でした。折角、服装を真似て、友人Sさんにも協力してもらっているので、バー・ルパンのポーズで撮影をしたかったのだ。しかし、一向に減る気配が無かったため、人数が減るのを待つため、また時間を潰すことにしました。
 墓所を出ると偶然にもSさんの知り合いが居り、これからお茶をするとのこと、時間を持て余していた私とSさんは同行させてもらうことにしました。
 向かった先は、またもやガスト。正直に先ほど来たことを伝え、それぞれ1人ずつ(全員で8人)簡単な自己紹介をしました。
 
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 実は、私とSさんを除いた方々は、『みたか太宰の会』のOBの方たちでした。現在はすでに解散しているようですが、まさかこんな出会いがあるとは思っていなかったため、貴重な体験をしました。この時、『みたか太宰の会』が作った、元祖太宰マップを貰いました。マップは、三鷹の太宰のゆかりの地等が載せてあり、カラフルでとても愛着のあるイラストが描かれており、太宰愛に感激しました。何より嬉しかったことは、「太宰治と横顔が似ている」と言われたことでした。私にとって、なによりのご褒美です。
 私は、自身のブログアドレスを載せた手作りの名刺を渡し、Sさんはお知り合いでお世話になった女性と語り合い、大いに有意義な時間を過ごし、また再び写真を撮るため、お礼を言い、禅林寺に向かいました。

 三度目の正直。人数はだいぶ減り、最初と同じ15、16人前後。しかし、まだメディアがインタビューを行っていた。酒を飲んでただ座っている者たちもいた。ただじっと眺めている者もいた。グラサン掛けた姉ちゃんもいた。
 
 私はとりあえず、通路でバー・ルパンのポーズを決めて撮影した。その後も、じっと人がいなくなるのを待っていたが、帰る気配がない。すでに夕方16時は過ぎていた。

 Sさん「もう大丈夫ですか?そろそろ行き(帰り)ますか?」
 私  「……」
 Sさん「どうします?まだ撮りますか?」
 私  「…すみません、やっぱり墓前でお願いします。」

 もじもじしながら、やはりここで帰ったらきっと後悔するに違いない。そう思った私は、勇気を振り絞って写真を撮ることにした。
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 上の写真が、一応、勇気を振り絞って撮ったルパンポーズの写真です。私のすぐ後ろには、昼間から酒を飲んで少し意味不明の話し(過去の女の卑猥な話)をするおじさんや、ただ黙って見つめているおじさん、グラサンを掛けた2人組の女性、そして、横にはカメラを持ったメディアがいました。中々緊張しました。写真では平然と写っていますが、太宰のセリフを使わせてもらうなら、『おもてでは、絶えず笑顔をつくりながらも、内心は必死の、それこそ千番に一番の兼ね合いとでもいうべき危機一髪の、油汗流してのサーヴィス』でした。

 大満足であった。なぜルパンポーズを選んだのか、なぜこだわったのか、自分でもよく分かりません。それしかポーズが思い浮かばなかっただけかもしれません。
 しかし、大満足でした。Sさんには感謝しています。
 それと、酒を飲んで意味不明の話しをしていたおじさんは、実は文学サロンの前で私に、「お兄さん、太宰治に似てるね」と言った男性でした。しかも撮影後、帰ろうとする私とSさんに、またもや女の下品な話をしてきました。
 それでも私に、「お兄さんは、顔が太宰に似てるね」と言ってくれたことは、正直お世辞でも嬉しかったです。最後の、「もうちょっと背を伸ばせよ」は、大きなお世話ですが。

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 今回は初の桜桃忌でしたが、生誕105周年にも関わらず思った以上に人数が少なかった(私が美化し過ぎていただけなのかもしれません)。
 しかし、何より桜桃忌に参加できたことがよい経験でしたし、ルパンポーズも最高な気分でした。さらには、『みたか太宰の会』の方々とお会いでき、名刺交換等、非常に有意義でした。

 これも全て、撮影に協力してくださったSさんが居たこと、そのことによってSさんのお知り合いと出会うことができました。
 この場を借りて、改めて、Sさんと『みたか太宰の会』のOBの方々に、心から感謝いたします。
 
 




by dazaiosamuh | 2014-06-19 23:40 | 太宰治 | Comments(0)