太宰治が見た富士山

 前回の記事では、一昨年に太宰のお墓を見に行ったことを書いたが、同年に太宰が滞在した天下茶屋を訪ねたことも書こうと思います。
 先月の太宰の故郷を旅した時と同様、一泊二日で一日目はぶらぶらと美術館を観たり、河口湖周辺で富士山を眺めたりで、太宰の聖地巡りは主に二日目に行った。何せ一昨年のことで聖地巡り初心者なこともあって記憶に乏しい。できる限り記憶を掘り起こして書こうと思います。

 実は私が記念すべき第一回一人旅に出たのは、この天下茶屋が最初である。一昨年の十月のことで、東京はまだ残暑も残っておりどうせ山梨県も暑いだろうと思い、当日は野宿すればいいやと軽い気持ちで旅に出たのである。
 
 新宿から電車に揺られて河口湖駅へ向かう途中、富士急ハイランドのすぐ横を通ったのだが、太宰聖地巡りはまたの機会にして富士急ハイランドで遊んで帰ろうかしら、なんて阿保なことを考えてしまった。しかも、自分がランド内にあるアトラクション、「ええじゃないか」「FUJIYAMA」「ドドンパ」に乗って楽しんでいる様を妄想して一人ニヤニヤしてしまった。もしこの時の私を見た者がいたら、嫌悪を示すだろう。私は、まだ新アトラクション「高飛車」は乗ったことがない。もし富士急ハイランドに来たら絶対乗ってやろうと思った。
 
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 ようやく河口湖駅にたどり着き、見晴らしの良い富士山を眺めるのに手頃な河口湖へ行こうと切符売場へと向かったのだが、受付の若い茶髪の女性の態度が実に不快であった。明らかに、面倒くせぇ、やってらんねぇ、みたいな態度であった。実に怪しからん。世界中から富士山を見に多くの観光客が訪れるというのに、この娘の態度は実に不快である。ましてや駅というのはその土地の顔である。まったく教育がなっていないのである。機嫌を損ないながらレトロバスの券を買い河口湖へと向かった。
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 河口湖は富士五湖随一の観光地だ。到着した私は早速デジカメ片手に湖の手前まで行ったのだが、あいにくの曇り空で富士山を拝むことができなかった。本来ならば河口湖と富士山の絶景が楽しめる絶好の撮影スポットなのだが今回はお預けのようである。ここには河口湖自然生活館というお店があり、ブルーベリーやラベンダーの石鹸などが購入できる。私はどうしても富士山が見たかったので、ブルーベリーソフトクリームを食べながら富士山が顔を出してくれるのを待つことにしたのだが、一向に顔を出さない。自然生活館の横にある花園をぶらぶらと歩いたがやはり駄目である。
 どの写真を撮っても富士山だけは写っていない寂しい写真となってしまった。
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 私はあきらめて周辺にある河口湖美術館に行き、その後は野宿するための寝床を探そうと歩を進めた。
 河口湖美術館は、当然ではあるが富士山を描いた絵画などが多く展示されている。館内は質素で落ち着いた雰囲気である。普段絵画をのんびり観ることなどないのだが、今日は富士山を拝むことができなかったため、せめてもと思い富士山が描かれた絵画を貪るように見入った。油絵で描かれた絵もあれば、幻想的であったり思いもよらぬ描き方をした絵画もあった。館内ではお茶を飲むスペースもあり美術館巡りが好きな人には良いかもしれない。

 美術館を出た私は、寝床を探そうと思ったのであるが思っていた以上の事態であった。非常に寒いのである。とてもじゃないが野宿は無理だ。外はすでに暗くなりかけていて時計の針は十七時を過ぎていた。私は東北出身者で寒さには強いはずなのだが、東京の気温に慣れてしまった私の体はすで耐久力を失っていた。根性で乗り切れるものでもない、朝まで起きているのも阿保である。風邪を引くのも馬鹿らしいものである。
 私は持参した旅行雑誌をめくり、河口湖駅から近く手頃なホテルに電話を入れ素泊まりで予約を取った。

 初日は富士急ハイランドの誘惑に負けそうになったり、駅での切符売場の若い女性の態度が不快なものであったり、あげくの果てに富士山を拝むことができなかった。
 
 初日は散々であった。せめてホテルではゆっくりと疲れを癒せればと思い安ホテルへと足を運んだのであった。
by dazaiosamuh | 2014-01-11 21:36 | 太宰治 | Comments(0)